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2013.03.14 (Thu)

プリンス物語 vol.5 プリンスと女たち

朝からの雪が,歩道にもうっすら白く積もり始めていた。

「本当に、今年の東京は雪が多い・・・」

霊界の、いや、元・霊界のプリンスジュンは
その細い肩を自分抱きして、呟いた。
「暖かいところへ,行きたいなあ。」

サクサクと、先の尖った靴で白い道を踏みしめながら歩く。

「え?連れてってくれるの?あったかいトコに?」
プリンスの、少し離れた後からついて歩いていた女が
勢い込んで訊いた。

「いや・・・南国が似合う男になりたいな,と,思っただけだ」
素っ気なく言うプリンスに、女は「似合わないよ」と、ぷっと吹き出した。

笑われたのが不満そうに,軽く眉間にしわを寄せたプリンスの姿は
都会の雪景色の中で折れそうに儚げに透けて、
1枚の絵のように美しくキマっていた。
女は少しの時間、その絵を名残り惜しむように鑑賞した。

「・・・ね、今年の夏は、あたし、連れてってくれないんだよね?」
「ああ、今年はドナルドおじさんを連れて行かなくちゃならないんだ」

それまで前を向いて歩きながら話していたプリンスは、
ふと足を止め、振り向いて女に近づき、
おおきな両の手のひらで包み込むように、彼女の長い髪に触れた。
「ごめんな、くのいち」

あー、こういうマメさが、モテるコツなんだよな、
だから途中でギターを持ち替えても,許してしまうんだ。

「くのいち」と呼ばれた女・・・つまりカガヤ家のくのいちは,
そう心の中で舌打ちしたが、
表情にはおくびにも出さずに、神妙な顔で頷いてみせた。

「うん,でも,不意打ちで単独で呼んでくれたりしない?
お正月は,桜さんと雨さんが一緒だったって聞いたよ?」

痛いところを突かれてドキッとしたプリンスだが、
こればっかりは、沢田さんに言われて呼ぶのだから仕方ない。
いやしかし、、、正月はびっくりした。
雨のことは,沢田さんもお気に入りで何度か呼んでいるが
桜 舞子は紹介した年以来,初めてじゃなかっただろうか。
目鼻立ちの整った、楚々とした感じの舞子は、俺も自慢だったから
沢田さんが可愛がってくれて、俺も嬉しかった。

「・・・じゃあね」
考えに浸っているプリンスをよそに、カガヤ家のくのいちは
くるりと背を向けた。
「も,もう行くのか、ツアーは6月からだから,そんなに慌てなくても・・」
「だって、ジプシーズとか,ルーザーとか、あんた結構いそがしそうじゃん、
だから、じゃあ、ね」

そう言い終わらないうちに、うっすらと白い道の上で
掻き消えるように,彼女はいなくなった。

毎年、新しい子と一緒にいくということは、
昨年の子は連れていけないということだ。淋しいけど,仕方ない。
しかし今年は「ドナルドおじさん」ときた・・・おっさんなのか。

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、若もスミにおけませんなぁ、毎年」

突然の声に驚いて振り向くプリンス。
「じ、爺、見ていたのか?・・・ん?ま、まさか、
爺のことじゃあないだろうな?アンクルドナルドって」

「まさか。爺はそのような可愛いキャラではございません」
そのとき、爺の後から、ぴょこん、と瞳の大きい女が顔を出した。
「やっほー!あたいを6ヶ月40カ所連れ回してくれるのって,君?」
「き、君って・・・君こそ誰だ」
「あたいはルル。RHURHUって,何度も呼んでね、よろしく」

ルル・・・ね・・・
今回のストーリーは、文筆家も苦しいようだな?

まあいい、俺に出来ることは,彼女と仲良くやることだ。
おっさんじゃなくて,少なくともその点はラッキー・・・

と,プリンスが彼女の腕を引き寄せようとした時、
ふいにくのいちが目の前に再び現れ、

「みどりちゃんとか、イタリアの子とか呼ぶくらいなら、あたし呼ばないと
承知しないかんね!」

と叫んで,一瞬で消えた。


こわい。。。

笑顔で寡黙じゃなかったのかよ,お前は。。。
霊界の女忍者は、これだから。。。
気軽に昔の女も呼べやしない。。。

「ほほほ、若、では、ルル嬢ちゃまをお引き渡ししましたぞ。
お好みの女にお育てくださいな、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、」
と、爺も消えて行った。

誰もいなくなった道で、
ルルが,無邪気にプリンスの腕に絡み付いて来た。
気がつくと,足下の雪は溶けて、
見上げれば,もう梅が咲き始めている。


おわり。

※この話は妄想です。苦情は受け付けていません。

(以上 プリンス物語第五話 終了)
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19:09  |  ---  |  コメント(6)

Comment

わーい

久々の“プリンス物語”だぁー!

最初、「桜さん」「雨さん」が分からず、??だったけど、
桜 舞子でやっと分かったよん。
ルル嬢は、プリンスだけじゃなくて、4人で奪い合いかしら?
ぴょんた |  2013.03.14(木) 21:55 | URL |  【編集】

>ぴょんたさん

なんだかプリンスの描写が
ちょっとエロくなってしまいました(笑)。
プリンスの書く曲が大好きで,
こんな話になりました・・・が、
よくわからない昼メロか
韓流ドラマのようだったらズビバセン。

足掛け5年、大河小説プリンス物語はどこへいく。
しょあ |  2013.03.14(木) 23:08 | URL |  【編集】

久々のプリンス物語

このシリーズ好きですよ~(^_^)v しょあさんワールド楽しみにしてました!
探偵初日 行って来ました。ジュリー、『最後の雨だれの挽歌』で号泣してました。
さらなる進化を遂げ 楽しい音楽劇になってました。
ミルクティ |  2013.03.15(金) 00:46 | URL |  【編集】

>ミルクティさん

おお!お芝居初日いらしたんですね。
初日にプリンス物語なんて書いてるKYでズビバセン。
ま、そこが、しょあクオリティ。お許しください(^^;;
お芝居は近々、母と一緒に行く予定です。
ますます楽しみになりました~。

あと、ココだけの話、カズさんが消息不明な間
ちょこちょことプリンスを見に行く予定にしてまして、
こちらも楽しみなんですよ。ウフフ。
しょあ |  2013.03.15(金) 11:14 | URL |  【編集】

あいかわらず

天才ですわv-218

わたくし、完璧ヴァージョンを1度も聴いたことが無いので、
イタリアの子を連れてきてほしい気もいたします。
ジュリーは二度と呼ばないと思ってるかもね~i-201
ひいきゃん |  2013.03.16(土) 10:58 | URL |  【編集】

>ひいきゃんさん

かつてない反応の薄いプリンス物語に
コメントいただいて、ありがとうございます。

イタリアの子ですか?
二度と呼ばないってことはないと思いますけど(笑)
うーん,言葉が通じないのかしら?

今年の新譜は、4曲とも
もう鼻歌が出るくらい聞き込んでいます。
でもやっぱり,初日は泣くかもしれないです。
しょあ |  2013.03.16(土) 23:11 | URL |  【編集】

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